永福の歯医者さん
永福で行きつけの歯医者があった。
その時の私は定期的な歯石取りと軽い虫歯で余り複雑な手技を必要とする症状では無かったからか、
あまり先生には直接診療されることがなく、もっぱら歯科衛生士さんに見ていただいていた。
そして、その間、先生はなんと奥の部屋でギターを弾いているのであった。
壁にもいくつかのギターがかかっており、それを眺めながら治療を受ける・・・はっきりいって変わった歯医者であった。
その歯医者の看板がいきなり無くなって人気(ひとけ)が消えていた。
前はちょっと行くのをさぼると、家に葉書なども来ていたのが、何の連絡も無く唐突に。
突然夜逃げでもしたのだろうかとちょっと怒っていたが、その後、また歯医者が出来た。
最近、歯の具合が悪くなってきたので、思い切って後に出来た歯医者を訪ねてみた。そして聞いた。「ここは前も歯医者でしたよね?何か関係があるんですか?」女の先生が答える。
「あの歯医者さん、亡くなられたんですよ・・・・しばらくは家族の方が思い出にと場所だけ残してあったんですけど、今は私が借りて歯医者をやっているんです」。
なんと!!そうだったのか。
診療中にギターを弾いているくらい変わった先生だったので、顔も雰囲気もよく覚えている。
月に一回か二月に一回の付き合いですごく親しいわけではなかったが、やっぱりショックだった。
「というわけなんですが、私も診療しますけど、私で大丈夫ですか?」「お願いします」部屋に入ると、レイアウトは変わり、機械も違っていたが、構造上の問題もあるのだろう、レントゲン室は同じ部屋だったりして、面影があった。
さらに少し寂しくなった。
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